太陽光発電か、米作か?

2016-3-20


太陽光発電の導入

東日本大震災で東電がだいちょんぼをやらかし、福島第1原発が崩壊して、日本中、いや世界中で原発を忌避する動きが活発になりました。しかし、エネルギー、電気は必要なので、クリーンで安全な再生可能エネルギーに目が向かいます。電力会社による分散電力の固定価格買い取りを定めたFIT (feed-in tariff)が始まり、2014年の夏頃には、太陽光等の電力が過剰に流れ込んで、基幹系が不安定になるとして、新規の契約を止めたいという動きまで出ました。九州電力などは、もともとがそれほど大きな電力ではないところに、好立地を生かして大量の太陽光発電所が建設され、総電力の半分を超える契約に迫ったようです。買い取り価格がこの先は下がっていくことを見越して、早めに契約をしておこうという動きがあったようですが、それまでなかなか太陽光の導入が進まなかったのに、FITで一気に進んだのは驚きでした。43円/kWhという無謀な高価格になったのは、太陽光発電事業に乗り出そうというソフトバンクの孫社長の意見が強く作用したと言われます。

つくば市の太陽光発電施設

つくば市の特に北部をサイクリングしていると、しばしば大きな太陽光発電施設に出くわします。上に上げた写真のLixilの施設と下の写真の左上の施設は、6haほどの面積があり、㎡当たり200Wで計算すると、1.2万kWの発電量になります。そのほかにもいくつかの大きな施設がありますから、この2枚の写真だけで、おそらく5万kWほどの定格電力になるでしょう。

つくば市には、22万人が住み、一戸建ての家が37000軒ほどあります。もし、その10%が5kWの太陽光発電を付けているとすると、3700*5kW=1.85万kWが発電されます。このほかにも多くの太陽光発電施設があります。したがって、おそらく、つくば市全体の太陽光発電を合計すると、10万kWほどにもなるでしょう。22万人の人口が、一人あたり1kWの電気を使うとすると、その消費量の約50%を太陽光発電でまかなえることになります。もっとも、太陽光発電の定格は、太陽が直射しているときの性能で、せいぜい一日に10時間しか発電出来ません。後述するように、実績は12%になります。

日本の太陽光発電導入状況

こちらに2013年までの導入状況がまとめられている。2012年6月末までで2000万kWであったところ、その後の1年ほどで900万kWhほどが加わったことになっている。日本の総発電量は、確か1億kWhほどだから、すでに20%に達していることになるが、それは日本中で天気の良い昼間のことだけだ。2016年11月の資料では、3,315万kWhとなっている。統計では、毎月50万kW程度ずつ増設されているので、1年で600万kWh、10年たてば、ほぼ100%の中韓電力が太陽光になる。そんなことはないだろうけど、統計上はそうなる。

米作りと太陽光、どっちがもうかるか?

これらの太陽光発電施設は、以前は水田か畑でした。Google Earthで見ると、太陽光発電施設がたくさんありますが、そこをストリートビューで近寄ってみると、ストリートビューは昔の画像が残っているので、水田や畑だったことがわかります。

水田だったとしましょう。10a、すなわち1000㎡の水田からは、平均して531kgの米が作られます。 米の価格というのは、玄米60kgあたり1.3-1.5万円くらいのようです。そうすると、1.4万円とすると、10aの水田の売り上げは12.4万円ということになります。これは売り上げですから、これに肥料、農薬、農機の使用量や工賃がかかります。いくらかわかりませんが、10万円以上の収入を得ることは難しいでしょう。

同じ水田を太陽光発電に転用したらどうなるでしょうか。太陽光パネルというのは、1㎡あたり、200Wくらいの発電量です。夜間や悪天候を考えると、この12%の能力になります。年間8760時間をかけると、年間に210kWhになります。1000㎡では、21万KWhです。これをkWhあたり30円だと630万円、20円だと420万円ということになります。

これは、上記の米作りの実に42倍の収益です。太陽光はだんだん効率が落ちたりするので、この半分だとして、とても米作りが適う相手ではなさそうです。それに、一度設置したら、保守は必要ですが、米のように草を取ったり、水を見たり、苗代をつくったり、農薬を撒いたり、肥料を撒いたり、コンバインを動かしたりという手間はかからないのです。ほっておけばどんどん収入になる。もちろん、初期費用がかかります。1000㎡の太陽光パネルは、2500万円ほどしますし、その制御系や架台に1000万円くらいはかかるでしょう。その償却に10年近くかかると思われますが、その後は、高収益です。仮に寿命が20年だとしても、米作りの10倍の収益は確保出来ます。

農地を発電所に転用しようとする人の最大の心配は、買い取り価格でしょう。10年後の買い取り価格は、kWhあたり10円以下に下がっている可能性があります。それは、このような高収益だから、我先にと参入が相次ぎ、競争が激化して、買い手市場になるのです。10年先は、電気は節約せずにどんどん使えと言うことになっているかもしれません。

もう一つの心配は、米作りが廃れてしまうことです。濡れ手に粟の発電商売と、額に汗して低収益の米作り、農業と、若者はどちらを選ぶでしょうか。米の価格が10倍になれば、バランスするかも知れません。そうすると、国際競争力がなくなるでしょう。しかし、農業に代わって太陽光発電を導入する動きは、世界的に進行するでしょう。石油の価格も暴落するかも知れません。太陽光の普及は、大変大きな変革をもたらしそうです。



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