KMX Trike で不動峠に登る

~ダウンヒルが超楽しい!~

Penguin!! May 30, 2015

 

KMX Trike

職場に、自動車や大型オートバイなど乗り物が趣味で、変わった自転車も保有している同僚がいる。先日、いっしょに数十劼離汽ぅリングに出た帰りに、KMXのTrike (トライク、三輪車)に試乗させてもらった。リカンベント風なのだが、3輪なので、腰の位置をさらに低くできる。風の抵抗を減らせそうだが、車輪の抵抗は増えそうだ。リカンベントやトライクは、山登りは不得手らしいが、私の太い足を持ってしても登れないものだろうか? 早速、次の週に、また一緒に筑波山の不動峠にアタックしてみることになった。以下、借り物ながら、三輪リカンベントで峠に出かけたインプレッション。

 

トライクの構造

KMXのCobraという3輪自転車に、多少手が入れてある。KMXというのは、英国の自転車メーカーで、Cobraのお値段は、1200ポンド、日本では、18万円ほどのものらしい。これは、リカンベントとしても、3輪自転車としても、安いのではないか。ただ、フレームは、四角い断面の炭素鋼で、重量が19.5Kgと大きい。オーナーが手を入れたというのは、タイヤを細くしたこと。もとは、オフロード用で、50佗なのだが、38个砲覆辰討い襦

見ての通り、舵を切る前輪が二つあり、駆動輪=後輪が一つ。子供の三輪車とは前後が逆。前輪が20インチ、後輪が24インチ。仰向けに近い姿勢でシートに座り、前方のクランクを回すと、長く太いチェーンを引っ張って後輪が回る。ハンドルを切ると、両方の前輪が連係して動いて旋回する。このメカは、いじりがいがありそうだ。自転車のように90度舵を切ったりはできないので、旋回半径は大きめ。後輪ハブには、普通にラチェットがはいっているので、足を休めればからからと空転する。クランクを後ろに回しても後退できるわけではない。ヨーロッパの自転車のように、ラチェットなしで、後退できるようにした方がよいかも。

ギアは、前3段、後8段で、グリップシフト。前ギアは、42-32-22、後ギアは、32-11T だから、大変なワイドギア。特に、一番低いギアでは、32/22だから、クランクを1.5回ほど回すと後輪が一回転するが、その後輪もロードバイクより直径が8センチほど小さいので、さらに軽くなる。これなら、峠登りも期待できそう。3輪なので、スピードをいくらでも遅くできる、止まっていても倒れない。オフロード用というのはそのことか? 高速側は、11/42だから、ロードの12/50より2段くらい低いが、トルクが間に合えば、高速にも強そう。

ブレーキは、全輪ディスクブレーキ。後輪ブレーキ(左手)には、パーキングブレーキが付いている。また、全輪に泥よけフェンダーが付いている。豪華じゃないか。

大柄(で、超メタボ)な欧米人が乗っているのだから、多少メタボな日本人が多少乱暴に乗っても、強度的には全く問題あるまい。オフロードなら95kgまで、平地を走るなら、体重135kgまでとなっている(日本人は、どっちも軽々セーフ)。それでも、強度に不安があるとしたら、前輪アクスルが片持ち梁であることだろう。サスペンションは付いていないから、段差などで強い衝撃を受けるかもしれない。それから、長いチェーン、ご丁寧なフェンダー、ディスクブレーキなどが、どこかに触っているらしく、何かしら音を立てるのは精神に響く。

乗車姿勢

家人は、右上の写真を見て、身障者用の新型の乗り物とと思ったらしい。確かに、後輪が見えないと、まるで車いすである。だが、車いすよりおおげさに仰向けに寝っ転がるので、リカンベント型自転車特有の、空気抵抗を減らす効果につながる。前輪が、左右に分かれるので、乗車位置を車輪の間に落とし込んで低くすることができる。

サドルではなく、シートに座り、背中をもたせかける。自転車のように、おしりが痛くなることはないだろう。パッド付きのレーパンで座ったが、パッドには効果無し。その代わり、背中が広くシートに密着する。力をいれてこぐときは、背中をぐいぐいシートに押しつけ、その反力でペダルを前に押す。このとき、汗がシートに吸い取られていく。シートは、取り外して洗濯できるようになっている。

座席に座ると、背中のポケットが使えない!よく考えずに、背中にいつものように携帯食を入れて行ったところ、見事に粉々になりました。もの入れのバッグをどこかに取り付けられるかというと、なかなか難しい。ハンドル横にトップチューブバッグを取り付けてみた。同じく、スピードメータを付ける場所がない。ハンドル横に付けたが、遠くて、ほとんど数値を読めない。ボトルを付ける場所もない。下の写真は、ボトルケージをシートの左後ろにタイラップで付けてもらったもの。外れることなく走れたが、走りながら手を伸ばして水補給するのはほとんどできない。サドルバッグだって簡単には付かない。というように自転車用の小物が、ほとんど使えない状態である。右のハンドルにバッグが付けてあるのが見えるだろうか。スマフォを透明ケースに入れて走行中に見られるようになっているのだが、ごらんのようにアサッテ方向を向いて、意味なし。

低い位置に座ると、景色が変わって見える。隣を走る、あるいはすれ違う自転車ライダーが、そびえ立って見える。路面もよく見える。自動車とすれ違うと、土埃が飛んでくる。水たまりなどあると、顔を直撃されそうだ。泥よけがあると安心。目が車体の真ん中より後にあるので、交差点で、左右の確認がしにくい。交差点には足から突っ込むことになるが、頭から突っ込むよりは、抵抗が少ないか。後方も見にくい。車体の直進安定性が悪いので、走りながらからだをよじって後ろを見るのはとてもこわい。視界が悪いと言うことだ。その代わりといっちゃなんだが、空は見やすい。つまり、顔を日焼けしやすい。脚の表側も日焼けしやすい。

ハンドルは、胸の前で垂直の棒を掴む感じになる。ブレーキレバーとグリップシフトと共に、なんだか取って付けたような安っぽさがあるが、機能的には問題ない。

操縦、走行

乗り込むときは、自転車の横側からシートに腰を下ろすのではなく、シートの前方、ペダルの後ろに立ち、○○○をするときのように腰を下ろす。横から乗ると足が絡まって、ペダルに足を伸ばせなくなる。

旋回半径が大きいし、車体が重いので、コンビニの駐車場などで、車体をひょいっと持ち上げて方向転回するわけには行かない。座席に座ったまま、足をばたばた動かしてバックするか、下りてハンドルを切りながら車体を前後に動かして方向転回する。

乗ってみて、あれっと思うのは、3輪だからバランスを取る必要がないこと。なんと、止まっていてもペダルに足を載せておける。時速1-2劼糧速でもフラフラしない。信号待ちで、ビンディングペダルからシューズを外す必要もないし、乗り出すときの嵌めあわせは一回だけ、もちろん、急な停車でビンディングが外れずにこけることもない。まあ、この辺りは、子供はまず3輪車で遊び方を覚えてから、自転車に移りましょうの逆の過程である。いずれご厄介になるかもしれない、車いすのような乗り物に慣れておくのにもいいかもしれない。

加速は遅い。車重が重いのと、立ちこぎができないから、大きなトルクがかけられない。背中をぐいぐい押す感覚を覚えると良い。だんだん加速していくと、風が当たるが、確かに、空気抵抗が弱い気がする。しかし、いかんせん、その空気が抵抗の大宗を占めるような速度を保つのが容易ではない。タイヤは、700KPa(7気圧)まで入るところ、5気圧入れてある。この太さのタイヤにしては、けっこうな高圧である。それでも、路面の摩擦抵抗、チェーンその他の駆動系の抵抗が大きいのではないか。時速20kmだとちょっとがんばっている感じがある。あんまりcadenceを上げず、5-60回くらいで流すのが良いのではあるまいか。というのは、駆動系の損失が大きく、回転数よりトルクを上げた方が効率が良いから。アップライトの自転車では、クランクの動きは、視線を大きく下げないと見えないが、リカンベントトライクでは、常に膝の動きが目に入る。ずいぶんおおげさに動いているじゃないかと感じることもあり、回転数よりトルクかなと。こぎは、とにかく足を使う。足しか使えない。自転車のように腕でハンドルを引いて、反力で足に力をかけるという技が使えない。背筋も使わず、全身運動ではなく、足だけが疲れていく。

旋回は、自転車のように体を傾けて旋回するのではなく、あくまでハンドルを切って旋回する。3輪車独特というか、4輪車と同じで、車体を傾けることなく、タイヤと路面の摩擦が出す横Gで曲がる。旋回によって体が、遠心力で左右に振られるし、タイヤは、シューっと音を上げる。自転車では、遠心力と重力を合わせた合力は、必ず頭から背中を通っておしりに抜ける直線の方向だが、3輪車では、この合力の方向が体の傾きとは一致しない。自動車やジェットコースターが旋回すると体が振られるのと同じことが起こる。さらに、旋回のハンドル操作が、非常にクイック。スピードが出てくると、恐怖を呼ぶほどクイック。直進安定性が低いが、さすがに時速40kmも出すと、安定してくるようだ。

フィッティング

峠に出発する朝、自転車のフィッティングを行う。といっても、シート位置あわせだけ。オーナーと私は、体のサイズがかなり違うので、シート位置を変えてクランクで足が詰まらないようにしなければならない。冒頭の写真は、調整前なので、足が寸詰まりになっている。調整ポイントは、シート位置とクランク位置の2種類ある。クランク位置は、フレームのクランクステーをのばせばよいのだが、するとチェーンも伸ばさなければならなくなるので調整がやっかい。シートを5センチほど下げることにする。シートは、腰の真下でフレームに固定され、背中を後輪のハブが支えている。両者をずらす。いずれも、ねじが二つずつ。自転車のように、ネジ一本でシートポストを上下させることに比べると煩雑である。また、ねじ穴は、1インチごとに開けてあるが、その間には設定不能。シート角度を若干変えられるが、連続的に好きな角度にできるわけではない。

そのほか、ペダルをシマノのMTB用ビンディングペダルに交換する。立ちこぎができないから、せめて引き足を使えるようにしたいと思う。背中のポケットが使えず、サドルバッグも付かないので、ハンドル横にトップチューブバッグを付ける。シートの裏側に、ボトルケージを縛り付け、ボトル一本を挿す。チェーンに油を差して、出発!

反響

自分でも喜んでこんな印象記を書いているくらいだから、一般にもトライクとか、リカンベントなんてなじみがなく、一体何なのかと思う人は多い。道行く人は(田舎なので人は極めて少ないが)怪訝そうに不思議そうに視線を送ってくる。子供は、正直に、「おばあちゃん、あれはなぁに?」と大声で聞いている。ライダーは、手を振って応えてあげる。あの子もこれを機会に感じて、いつかは自転車乗りになるかもしれない。

自動車からも一目置かれる。左側を走る自転車をパスしていくのだが、ただの自転車よりも余裕を持って追い越してくれている。近づきたくない?ハンドルがふれてフラフラ走っているのが後から見えるのかもしれない。顔が低いから、ダンプの排気ガスや、タイヤの巻き上げる土埃をまともに受けるてしまいます。

リンリンロード

車体が低く、視認性が低いので、車道を自動車に交じって走るのは気が引ける。そうでなくても、つくばの自転車は農道を走るに限るのだが、とりあえずリンリンロードを走ってみる。ハンドルがクイックなのが気になる。自動車の進入よけに車道と交差する所には、杭が3本立っているのだが、その間をすり抜けるのも気を使う。車幅が、自転車より明らかに広い。自転車は、ハンドル幅がたいていは40cmなので、50cmあれば通り抜けられるだろうが、このトライクは、80cm位は必要だ。棒杭の間が狭いと苦しい。

自転車道をのんびり走るのは、気分が良い。首をもたせかけるヘッドレストがあるといいのだけれど、疲れるほどではない。景色を見るのは、ロードバイクの方があちこち見回せるのではないか。トライクは、直進を保つために、どうしても目の前から視線をはずしにくい。手放し運転というのがやりにくい。

不動峠登り

30分ほど走って、不動峠の麓にたどりつく。ここから距離で4km、標高差で300mほどを登る。さらにその後は、5kmほどのアップダウンを繰り返して、440mの風返峠に至る。ギアを下げると、かなり楽にクランクを回せる。ロードバイクで併走するオーナー氏は、不動峠は初めてで、ギア比が52-39 x 12-23と高いので、私の駆るトライクとは、いい勝負かもしれない。何せ、彼のバイクは、一番軽いギアが23/39 であるのに対し、このトライクは、32/22なのだ。

前ギアは早々とインナー22に落とし、後ろは4速で登る。あと3枚余裕がある。それも、8速ギアのうちの3枚も残っていると、楽勝に思える。が、すぐに苦しくなって3速にする。こんな低いギアでは、スピードが出ない。garminを見ると、時速6kmしか出ていない。普通の自転車では遅すぎて不安定になる速度だが、トライクでは問題なく、ゆっくり登れるのがいいところ。

不動峠は、6-8%と比較的緩い勾配で、自動車もほとんど通らないので、楽に登れる。オーナー氏は、初めてなのでヒーヒー言っているが、時速6kmとかなら、登れるだろう。ケイデンスが落ちている。

勾配が急で苦しいときは、引き足を使う。立ちこぎはできない。ハンドルを引きつける動きも封じられる。こぎはひたすら脚力である。大腿の筋肉だけが疲労していく。ギアを1,2速に落とすと、後部から異音がする。オーナー氏が後ろから調査すると、車体の下で長いチェーンを支えているガイドプーリーから、チェーンがはずれそうになってガイドと擦れ合う音だとわかった。プーリーをフリーに動けるようにしたり、ローギア側に寄せたりする応急措置を施す。

峠の半分くらいまでは大丈夫だったが、2.5kmあたりから問題発生。昨晩の雨で路面が湿っており、勾配に打ち勝つべくトルクをかけると、駆動輪がスリップする。体を反り返らせて後輪の荷重を増やしてみたりする。3輪だから、駆動輪にかかる荷重が小さいのだろう、2輪のロードより良く滑る。すべっても3輪だから転ぶ心配はいらないが、前に進まなくなる。峠の最後の10-13%のフィニッシュでは、スリップが連続して、ついに前に進まなくなった。やむなく20メートルほどは、自転車を降りて押して進む。追い越していったローディー達が、峠で休みながら横目でこちらを見ている。ちょっと情けない。そこまで、伴走するロードバイクの前を走っていたのですが、スリップしてから、完全に抜かれました。登りは、ロードバイクの勝ち。

ダウンヒル

風返峠まで登り、そこから湯袋峠に下りる。その前に自動販売機で飲み物を補給する。今まで、自転車では使ったことがない自販機だ。リカンベントは、あまり風が当たらないから、体温が上がって、水の消費が多いのだろう。

ダウンヒルは、自転車でも快感だが、リカンベント3輪車は、さらに楽しい。それは、カーブでの横Gを直接感じるから。一応、形ばかり、カーブでは体重を内側に寄せてみたりするのだが、どうなんでしょう。自転車でつりあいをとりながらカーブを曲がるとき、重心を低くすることは全く意味がありません。カーブで2輪車が外側にひっくり返ることなどあり得ない。ひっくり返るとしたら、タイヤがグリップを失って、カーブの内側に倒れ込むこと。ところが、トライクでは、遠心力で車体が外側にひっくり返ることがあり得ます。急なハンドルを切ると、内側のタイヤが浮き上がったりする。それを押さえ込むためには、重心を低くしなければなりません。立ち上がるのは危険です。

ダウンヒルでスピードが出ると、舵がクイックになります。舵はソフトに操作しても、横Gがガツンと来る。ディスクブレーキはいい感じです。ロードバイクのドロップハンドルのブレーキは、上からも下からも操作しにくく、長い坂を下りると腕が疲れますが、このトライクのブレーキは、ごく自然に握れて、コントロールも楽です。

結局、ダウンヒルでは、ロードバイクに先んじることができました。

帰路の平地走行

行きも帰りも、峠の麓からは平地なわけですが、何が違っていたかというと、疲労です。たいした距離ではありませんが、坂を登ったので、トライクは、足がなくなっていました。かたやロードバイクは、「こんなゆっくりだと楽ですね」と言い出す始末。トライクは、しきりにのどが渇いて、コンビニ休憩を求める。この状況を変えるのは、向かい風だ!と思いましたが、まさか、自転車乗りが向かい風を求めるとは!?結局ゴールしたのは、ロードバイクが先でした。総合判定は、ロードバイクの勝ち。太い足を持ってしても、トライクが勝てるのは、ダウンヒルだけ。

身の危険を感じたこと

コンビニに入る。田舎のコンビニは、みんな自動車で来るから、15台分くらいの駐車スペースがあるのがあたりまえ。自転車は、それをくぐって、お店の建物にもたせかけて駐めるか、最近は、建物の前に自転車ハンガーが置いてあったりする。それで、自動車の間をくぐり抜けて建物のそばまで行こうとしたのだ。ノーズから突っ込んで駐めてある車の後から隣に回り込んで店の前に行こうとした。ところが、その車の隣にも、その隣にもすでに駐車してあって、そちら側は自動車で一杯、幅広いトライクが通れる隙間はない。というわけで、自動車の後で斜めに停車したところ、その自動車のエンジンがかかった。次の行動は、後に下がってくること。トライクは、背が低いので、運転手からは見えていない可能性が高い。手を振って知らせようにも、こちらの背が低い。バックしようともたもたする。ぐわっと後退してきたら踏みつぶされていました。自動車の後ろで子供がもぞもぞしていてひき殺されるという事件が80年代に多発しましたが、まさにそれになりそうでした。すぐにバックできない、回転半径が大きい、背が低い、ということで事故に巻き込まれやすいと感じました。

結論

この日は、ヒルクライムを含む、三輪リカンベント走行が45km、Bianch Lupoに乗ったロード走行が40kmで、合計85km。リカンベント・トライクはおもしろい! が、自分で買ってどしどし使うことはないだろう。もっと軽い、普通のリカンベントならあり得る。

それにしても、チェーンが太くて長いのは、損失が大きそう。前輪ドライブにできないのだろうか。重量増なく前輪ドライブが実現できたら、買い!(かも)

また、いろいろな自転車文化というのが、2輪車を対象にしていて、3輪車は、同じ自転車カテゴリであっても、別物な部分があります。背中のポケット、ボトルケージ、サドルバッグ、リュックサック、Garminなど、どれもそのままでは使えない。先人の知恵の蓄積に感謝すると共に、トライクやリカンベントのような、新しい試みもどんどん出てくると楽しいと思います。(リカンベントも3輪も、古いアイデアですが)


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